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毎月19日は食育の日〜2022年7月号〜
タイトル「アイガモロボ 経過観察」
大変暑い日が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
熱中症にはくれぐれもご注意ください。
今月のコラムも先月に引き続き有機のお米作り、
特に先月のコラムでご紹介させていただきました
「アイガモロボ」についてお話しさせていただきます。
雑草の繁殖の抑制を目的として開発されたアイガモロボですが、
こちらを運用できる期間は限られています。
アイガモロボを畑に入れる投入タイミングは、
代掻き(しろかき:田んぼを平らにする作業)後の、
柔らかい土が固まらないうちに田植えを行い、
田植えから2〜3日以内に行う必要があります。
いろんな方々に見守られながら活動中のアイガモロボ
これは、土が固くなってしまうと、
アイガモロボで水を濁らせることができなくなってしまうからです。
また、アイガモロボは水深が最低3cm以上でなければ動けないため、
水深を深くする必要があります。
そのため、植える苗についても水没してしまわないために
15cmほどの苗丈が必要となります。
アイガモロボを田んぼから引き上げるタイミングは、
苗丈が30cm前後になった頃(田植えから3週間ほど)に行います。
その理由としては、苗丈が伸びたことで、
葉がスクリューに絡まってしまう可能性がでてくること。
この時期からはじまる苗の分げつ
(1本の苗の茎の根元から新しい茎が出てくること)
を阻害してしまうことがあります。
ここからは、実際にアイガモロボの実証を行った田んぼの様子をご紹介します。
鹿児島県えびの市、前原さんの田んぼ
こちらは、えびのの前原さんの田んぼ。
田植えから3日後のアイガモロボ投入日の様子です。
水位は4cmほどで、均平(田んぼの中が平らな状態)も取れており、
苗丈は15cmほどと理想的な状態になっていました。
ここから稲の成長に合わせ水位の管理を行い、
3週間後の引き上げ時の田んぼの様子がこちらです。
こちらは管理用の通路部分のため雑草が生えやすい部分なのですが、
見事に抑制されています。
鹿児島県姶良市、蔵満さんのたんぼ
次に、姶良の蔵満さんの田んぼ。
田植えから2日後のアイガモロボ投入時の様子です。
こちらは写真では分かりづらいですが、左側が深くなっており、
右側とはおよそ4〜5cmほどの高低差があります。
そのため、右側はアイガモロボの走行ルートから外して、
中ほどの水位を5cmほどにして運用しました。
こちらはアイガモロボ投入から2週間過ぎの様子になります。
先ほどの写真の右が手前となっています。
左奥の水面が見えてしまっている部分は、
水位が深すぎてしまい、苗が水没してしまった部分です。
アイガモロボが動けた部分は、雑草が抑制されていますが、
水深が浅く動けなかった部分では、このように雑草が生えてしまっています。
私は失敗かなと思いましたが、生産者によると
「田んぼの高低差があるため、毎年こうなるが、
今年は一部の除草作業で済むのでかなり助かる」
とのことでした。
アイガモロボを実際に導入してみて分かったことは、
・田んぼを均平にする必要がある
→高低差があると、アイガモロボが動けない場所や水が深すぎて
苗が水没する場所がでてくる
・水位は平均5cmほど(一番低いところで3cm)必要
→水位が低いとアイガモロボが動けない
・苗は苗丈15cmほどの太く元気なもの
→低い苗や細い苗だと水没してしまう
といったことです。
これらは、あくまでもアイガモロボを田んぼから引き上げた時点で
分かったことになります。
このアイガモロボの実証は、収穫まで続いていきますので、
このコラムでも収穫までの様子をご紹介していきます。
それではまた次回お会いしましょう。
【おまけ】
こちらは前原さんの田んぼの引き上げ時の写真です。
矢印のように、稲の葉が扇状に広がっている状態が理想。
1つ1つの葉に、日光がきちんと当たることで立派な稲に育っていきます。
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