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地球畑通信　2021年夏号

■トピックス
・農家インタビュー「夫婦での新しい挑戦」
・地球畑田植祭を開催しました！
・第24回有機農業チャレンジフォーラム2021
・地球畑カフェ　夏バテ解消レシピ

夫婦での新しい挑戦

インタビュー生産者：吉松聡(さとる)さん（鹿児島県市喜入）

有機農業を始めたきっかけ
初めまして。喜入で就農し、８月で４年目に突入します。５年前まで東京で会社員をしていました。社会人となり満員電車に揺られ、ＰＣに向かう日々の中で、農業への関心がふつふつと沸き上がってきました。
子供が生まれたのをきっかけに、安心して食べさせられる野菜が欲しいと思い始めました。求めるだけじゃなく、自分が提供する側になれば、同じ想いの人達へ貢献出来るのではないかと。

就農までの道のり
いきなり農業を始めるのは容易ではないと思い、まずは茨城県にある全寮制の農業学校の有機野菜の学科へ３ヶ月通い、週末だけ家族と過ごす生活を送りました。当時の妻や娘には申し訳なかったです。学校へ通いながら、都内で開催されていた就農フェアに何度か足を運び、その時に自分が生まれた鹿児島にある、かごしま有機生産組合の大和田代表と出会い、喜入農場のスタッフとして勉強させていただきながら、１年半、有機農業に取り組みました。

独立後の苦労と楽しみ
その後、独立就農となり、まずは農地探しとなるのですが、喜入は知り合いの全くいない土地で、喜入農場長の川崎さんや、鹿児島市喜入支所の農林担当者の助けを借りながら、何とか畑３枚を確保し、スタート出来ました。
これまでは喜入農場のスタッフ数名で進めていた作業を、全て自分一人でこなさなければならず、大変ですが、楽しくもあります。年間の大まかな流れや、毎日の作業スケジュールの構築、栽培作物の選定など、自分の責任の元で考えて動かなければならず、失敗は多々、たまに上手くいく感じですが、日々勉強、結果が付いてくると喜びも大きいです。
今では妻が一緒なので、お互いの気付きの違いを意見しあって、うまく作業に活かし、野菜が元気にスクスクと育ってくれると嬉しくなります。子供には自然に触れて欲しいという想いがあるので、週末の作業の際には畑に連れ出して、虫遊びや土いじりを楽しませています。

有機栽培の野菜の力
ちょっと珍しい野菜や、自分が食べてみたい野菜を置いて貰えるように、毎年一品、栽培にチャレンジしています。今年はスイートコーンに初めて挑戦してみました。甘くて美味しいのが出来たと喜んだのですが、栽培に課題ありでした・・・。
アマランサスという、通常は種を食す作物があるのですが、若葉も食べれるという情報を得たので、栽培方法など全く知らない中でチャレンジしてみました。結果、珍しい野菜ということで好評だったようで、手応えを感じました。
次は何にチャレンジしようか、妻の女性目線を参考に、草むしりをしながら考えています。

ある直売所のスタッフさんから、不思議そうに「吉松さんの野菜は、慣行栽培の他の人の野菜よりも鮮度の持ちが良い」と言われた時は、有機栽培の野菜の力を感じました。
毎日の作業は大変ですが、嬉しい言葉を頂くと、励みになります。これからも、多くの人に有機野菜を食べて喜んで貰えるように、栽培技術を高めながら、作業に取り組んでいきたいと思います。
吉松　聡（さとる）

地球畑通信

「いただきます」を直接聞けなくても
夫から農業学校に行って勉強したいと聞いた時は、驚きと新しい世界に挑戦だと、少しワクワクがありました。
私も仕事をしていたので会社へ事情を説明したところ応援しているから、頑張ってサポートして、美味しい野菜を作ってくださいと温かい言葉をいただけたのがありがたかったです。
幼い時に、祖父の畑で食べた野菜が美味しかったのを、今でも覚えています。実際に畑から採れたてのカブの甘さに驚き、もっと多くの方々に、有機野菜が身近に手に入る仕組みが広がればいいなあと思っていました。
学校給食にも、有機野菜を取り入れる事が進んでいって、アレルギーなどの症状が少なくなればと思っています。
私達の野菜たちが皆様の食卓に上がって・・・「いただきます」を直接聞けなくても、気持ちは届いていると思って頑張っていきます。
吉松　一十美（ひとみ）

有機農業は希望
コロナ禍で、社会が大きく変わりつつある。また、私たちの社会の様々な課題や矛盾が浮き彫りにもなっている。
子どもたちや働く女性たちへのしわ寄せがさらに悪化することにならないように、SDGs(持続可能な開発目標)以前に、持続可能ないのちの関係性、分かち合う公正な社会を目指すオーガニックの原理が浸透してほしいと切に願う昨今です。

吉松聡さん、一十美さんは東京で会社員をしていた若いご夫婦。聡(さとる)さんは証券会社、一十美(ひとみ)さんは航空会社で旅行関係の仕事をしていたとのこと。
リーマンショック後の世界経済の変化のただ中で、バーチャルな世界で生きるのではなく、地に足の着いた生き方を求め、命のもとである食べ物を作る仕事、農業に行き着いたそうです。ちょうどOisixが上場されたりした時で、日本の食や農業のあり方も変化の兆しが感じられた時期でした。
農業を知らない全くの素人なので、やるんだったら慣行の農業ではなく有機農業を、と最初から思っていたと。
見知らぬ土地で農地の取得から始まる新規就農者の暮らし。どう受け止めているか、話を聞くと、安定感すら感じられる落ち着いた話しぶりに、吉松さんの意志の強さや覚悟のほどが感じられました。そして、それには妻の一十美さんの存在がとても大きいことも。
一十美さんは東京生まれの東京育ち。ただお母さんの故郷が青森県の八戸市だったこともあり、子育ての今は、土があって空があって、…東京じゃなくていいのかな、と思っています、とのこと。
聡さんに、明るく頼もしいパートナーに恵まれて幸せですね、と言ったら、「二人しかいないチームなので」とのこと。　夏の暑さや秋の台風と、壮絶なことも様々にあるかもしれないけれど…勉強しながら世界を広げて行こうと1歩引いて見ているという聡さん。強力なチームメイトとのタッグが楽しみです。
（地球畑代表　大和田明江）

地球畑田植祭を開催しました！

2021年6月20日に、鹿児島県姶良市の生産者、今村さんの田んぼで、消費者と生産者が集まり、昔ながらの田植え体験を行いました。

お天気に恵まれ、晴天の中での田植祭となりました。あちらもこちらも裸足、裸足、裸足。参加者の皆さんもやる気に満ち溢れて、この日を楽しみにしていてくださったことが伺え、大変うれしく思いました。
後半疲れてしまった小さい子供さんたちも、「植えないとご飯食べられないんだよ～」と励まされ、転びそうになりながらも、一生懸命最後まで植え、頑張った後の河内晩柑をとても美味しそうに食べていました。
質問タイムにて、大変なことは除草だと今村さんはおっしゃっていました。除草剤を使えば楽ですが、除草の手間を惜しまず作ってくださっています。そんな今村さんが、「もう少しみんながお米を食べてくれたらいいな～」と笑い交じりに漏らされていたことが印象に残っています。
国民1人・1年あたりの米の消費量は、1962年度の118.3kgをピークに減少傾向にあり、2018年度には53.5kgまで減少しているようです。
そのため、主食用の生産を減らし、家畜用の飼料米の生産が増えている現実を知りました。
つくる人の顔が見えること、苦労を知ることで、目の前の食をより大事にできると思っています。生産者と消費者をつなぐ場として、地球畑だからこそできることを追求していき、食の大切さを伝えていきたいです。

（地球畑荒田店　鍋田　夏鈴）

田植祭参加者の声

ご参加いただきました皆さん、生産者の皆さん、ありがとうございました！稲は順調に生育中です。
10月後半に収穫祭を開催予定です。

2021年7月13日、第24回有機農業フォーラム2021が開催されました。

第一部ではNPO法人鹿児島県有機農業協会の大和田明江副理事長（地球畑代表）が「有機農業協会の21年、地球畑の30年～川上から川下までの有機農業運動～」と題し、有機農業運動の歴史と背景、昨今のSDGs(Sustainable Development Goals：持続可能な開発目標）にも繋がる有機農業の原理、運動やかごしま有機生産組合・地球畑の成り立ちについて、講演いただきました。
川下対策として海外で学校給食などへの有機食材の公共調達が拡大していることや、EUの新成長戦略「欧州グリーンディール」の中核となる「農場から食卓へ（Farm to Fork）」戦略で、2030年までに全農地の25%を有機農業とするための開発促進など、生産から消費までの持続可能な食品政策が紹介され、日本国内における有機農産物の加工、流通の整備、消費者の理解を広げることが課題であると訴えました。

かごしま有機農業推進協議会・大和田世志人代表（かごしま有機生産組合代表）の「みどりの食料システム戦略－認証制度の改善へ－」についての講演では、農林水産省が今年5月に策定した食料と農林水産業の生産力向上と持続性の実現を掲げた「みどりの食料システム戦略」において、2050年までに有機農業の取組面積を25%に拡大することや、化学農薬・化学肥料の削減目標について説明がありました。千葉県いすみ市の学校給食への有機米導入の取組みを例に、目標の実現には地域における横展開が鍵であり、実現しうる目標であると期待を寄せていました。
第ニ部では農チューバ―としてYouTubeで農業に関する情報を多角的に発信している愛知県豊田市の松本自然農園の松本直之氏を招き、効率化とブランディングで経営改善に成功した自身の例を元に、小さくて強い農家になるにはどうしたらよいか、講演いただきました。

インターネットで野菜セットを販売する中で、生産者と消費者のコミュニケーションが重要であることに気づき、消費者目線で考え、アプローチしていくことで固定客が付き、仕事の効率化にも繋がったという話に、参加者の皆さんも熱心に聞き入っていました。
消費者に寄り添う努力をすることで、作りたいもの、働き方、生き方も変わってくると述べ、約160組の生産者からなるかごしま有機生産組合のこれからの在り方にも参考になる貴重な講演でした。

今年はなすが豊作スタミナアップの一品！
マーボーなす

夏野菜ゴロゴロ麻婆茄子
【材料（4人前)】
なす：1本
豚ミンチ：200g
玉ねぎ：400g
ピーマン：2個
パプリカ（赤・黄）：各1個日
椎茸（乾燥）：1枚
人参：50g
小ねぎ：1/4束
ニンニク：20g
生姜：20g
豆板醤：小さじ2
鶏ガラスープ：300ml
ゴマ油：小さじ2（炒め用）
　　　　小さじ1（仕上げ用）
酢：小さじ1
菜種油：（素揚げ用）
片栗粉：少々
＜合せ調味料＞
酒：大さじ1
醤油：大さじ3
きび砂糖：小さじ2
赤味噌（麦味噌でもOK）：大さじ2

【作り方】
①なすは乱切りにして素揚げする。パプリカ・ピーマンも乱切りにしてさっと茹でて、氷水で冷ます。
②鍋にゴマ油を入れ、みじん切りした生姜、ニンニク、豆板醤を炒める。香りが出たら、豚ミンチを入れる。火が通ったら、みじん切りした人参、椎茸、くし切りした玉ねぎを入れ炒める。
③鶏ガラスープを入れ、あくを取り、合わせ調味料Ａを入れる。10分程煮込んで、水溶き片栗粉でとろみを付ける。
④①のなす、パプリカ、ピーマンを入れ、混ぜ合わせたら火を止める。ゴマ油、酢を入れ、さっと混ぜ合わせ、器に盛る。
⑤小ねぎを散らして完成！

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地球畑通信　2021年冬春号

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